読むな!カメムシ地獄の小説

「毎日つまらないなぁ〜」

2050年に虫とかいう生き物が絶滅したと書かれた教科書をひろげ、俺は机につっぷした。

「こら!寝るな山田!」生物の岡田先生に軽くたたかれ、飛び起きた。

「いいか?今まで地球にはいろんな生物がいた。しかし、人間の勝手な都合で絶滅させてきたんだ。虫も同じくな。ハチや蝶は植物の受粉に役立ってきた。しかし、人工授粉の技術ができ、花が虫のいない部屋の中で育つようになると、外に花がなくなってエサがなくなった虫たちは絶滅した。人間がしてきた罪を学び、反省することはとても大切だと思うぞ?」

なんか上から目線でムカつく。

オレ、天才少年山田太朗はこう言い返した。

「でもたたくのはダメでしょ。歴史の授業で学んだんだけど、2020年代体罰したらSNSとかで炎上して大問題なるんだって。」

「今は2100年だ。問題ない。」

言い返されて黙り込む山田太朗。

つまらない・・・ここが2020年代ならSNSに文句書き込んで炎上させられるのに・・・

2100年代はネットでなにかを書き込んでも、みんなが炎上させることにあきていて、炎上きっかけで大問題などほぼなくなっていた。

ありきたりでつまらない日常、いつもの通学路、やりあきたスマホゲーム・・・

最新のゲームあきたから昔流行したスマホゲームやってみたけど、これもあきてしまった・・・

暇になった太郎は、スマホのような見た目の、2100年代の携帯電話をもった。

指で操作すると、指紋認証でロックが解除され、アプリのページがでた。テレビアプリを押すと、今やっているのはニュース番組しかなく、ほかの番組を見るには有料のチャンネルを見るしかない。ニュースは嫌いだが、夕食前の時間はあまりにも暇で、ニュースを見ることにした。

写るのは淡々とニュースを読む、メガネのアナウンサー。アクション映画のような迫力も、バラエティ番組のような笑いもなく、あくびがでてきた。

「緊急速報」と白い字がでたが、これもきっと最近よくある小さな地震か、政治家かなにかのニュースだろう。

しかし、アナウンサーはよくあるニュースとは表情を変え、ものすごく焦ったような早口でこう言った。

「むっ虫がっ!絶滅したと言われていたカメムシがっ!発見されました・・・」

画面の中のアナウンサーと一緒に目をみひらくオレ。

まさか、虫が絶滅したと授業でやった日に発見されるとは・・・。

ひさしぶりの大事件に胸が高鳴ってきた。

「しかもカメムシは巨大化し、600m以上の高さになっているもよう。現場にはスーパーテレビ群馬局の佐藤さんがいます。佐藤さん?」

「はい!今カメムッ・・・」

佐藤と呼ばれる男が白目向いて倒れた。

カメラも倒れて横向きになったようだ。

そして、棒のような巨大な足6本に茶色く平らな体を持つ巨大生物「カメムシ」が遠くで人らしきものを食べている様子が写り、CMになった。